アメリカ合衆国では,上院財政委員会によって,同国の消費者物価指数のバイアスに関する検討を行う目的で,スタンフォード大学のボスキン教授を委員長とする「消費者物価指数諮問委員会」が設立された。1996年12月4日に公表された同委員会の最終報告書では,同国の消費者物価指数は,4つのバイアスにより実際の物価上昇率を平均1.1%過大評価しているとし,消費者物価指数の作成を担当している労働統計局(BLS)と大統領及び議会に対して,こうしたバイアスを是正するための勧告を行っている。
一般にボスキンレポートと呼ばれている,この「消費者物価指数諮問委員会」の最終報告書(TOWARD A MORE ACCURATE MEASURE OF THE COST OF LIVING, FINAL REPORT)に指摘されている米国CPIのバイアス問題は,そのかなりの部分は,米国CPIの作成方法が我が国などと異なる特有なものであることに起因しているとみられる。また,同報告書は,店舗バイアスなどに関して,概して,注意深く質の高い議論を行っている反面,品質・新製品バイアスなどに関して,BLSが反論しているように,概して,大胆過ぎるか,不適切な推計が目立つほか,懐疑的な意見が多い“消費者の選択の幅が広がることによる効用の増大”に関する大胆な推計を含めるなど,問題点が散見される。
このように,同報告書には米国特有の事情が反映されていたり,問題点があるにも関わらず,国際的に大きな反響を呼び,我が国においても,消費者物価指数の精度に関する論争が起こった。統計局では,平成12年基準改定に向けて,海外における議論や,国内の関係機関の意見等も踏まえながら,我が国の消費者物価指数の作成方法に関してPOSデータを用いた実証研究を行うなど見直しを行ってきた。
本資料は,これまでの検討結果を網羅したものであり,平成12年10月4日に開催された第94回統計審議会経済指標部会において,ボスキンレポートやその他の消費者物価指数への批判に対する統計局としての見解を報告した際に提出した資料を基にしたものである。

